3番目の高度合成数。-年下のキミと-

『……はい』


「あ、実句です」

 自分から電話をかけてるのに、出たことに少し驚いてしてしまう。


『あぁ』

「あの、風邪良くなったよ、ありがとう」

『そうか……』


 こちらの緊張に反して、聞こえてくるのはいつもの抑揚のない返事。



 全然、興味なしって感じ? 報告なんていらなかった?



「じゃぁ……」

 そう切ろうとしたとき、朋くんがポツリと何かを言った。


「何?」


『勉強なんてしてるから風邪引いたんじゃないのか? 遅くまでやってたんじゃないか?』


 ――え?


 その言葉で薄っすら思い出せる記憶。



 ガラステーブルに広がった教科書を、朋くんが片付けてくれていたような映像。

 熱にうなされながら、それを見た気がする。

< 212 / 333 >

この作品をシェア

pagetop