3番目の高度合成数。-年下のキミと-

 十月もそろそろ下旬で段々と肌寒くなってきたのを感じる。


 私は外に出ると大きく息を吐いた。



 さっきの電話への、モヤモヤした思いを吐き出すように。



「――実句さんっ」


 後ろからの声に心臓がドキリと跳ねる。


 まさか?



 声がした駐輪場の方に振り向くと、大志くんが自転車を引いていた。


「た、大志くん?」


 家から来たのか、制服ではなく紺色のリブハーフのジップニットに、ジーパンという姿だ。


 まだ見慣れない私服になんだかドキドキしてしまう。


 ――しかも、こないだ抱き締められたばかりだし。


 赤くなった顔が、暗さで見えてないといいけど……。


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