3番目の高度合成数。-年下のキミと-
「大志くん」

「はい?」

 ペダルに足をかけた大志くんが頭を少しだけ後ろへ捻った。


 私は顔を見られないように深めに腰に手を回して言う。

「私も、大志くんといると元気出るよ」


 ピクリ、と大志くんが動いたのが腕から伝わる。



「……それが本当なら、凄く、嬉しいです」



 大志くんはゆっくり答えながら、腰に回した私の手を上から握った。



 多分、時間にすると五秒くらい。



 そんな短い間だったけど、とても穏やかな時間に感じた。



 大志くんは手を離すと、今度はハンドルを握る。





 ちょっと朋くんの顔がよぎる私を乗せて、自転車は走り出した。
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