3番目の高度合成数。-年下のキミと-
「ここから歩いていいですか?」

 大志くんがココアの缶を振りながら私のマンションの方に目をやった。


「あ、うん」

 片手、缶で塞がってて自転車乗れないよね。

 自分用に買った紅茶を一口飲み歩き始めようとすると、大志くんが動かないことに気が付いた。


「実句さん」

 右に振り向くと、大志くんが缶を持っていない方の左手を差し出してくる。

「ん?」


「手、繋ぎたいです」


「え……?」


 思いがけない言葉に、体がピタリ止まった。



 手、を、繋ぎたいって……?



 心臓の音をうるさく思いながら、何て言おうか考えていると、大志くんがニッコリ笑う。


 そして、私の左手を取った。

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