3番目の高度合成数。-年下のキミと-
 ドキッとしたのは一瞬で、大志くんの言葉が緊張を打ち消してしまう。

「さっきは僕が引いたんで、今度は実句さんが引いて、譲ってください」


 えぇ!?


「さ、さっきって、このジュースをどっちが奢るかってこと?」

 驚いて聞くと、大志くんは笑顔のままコクリ、と頷いた。


 引くとか、譲るとか、そういう問題……? それに、比べるとこ、そこ!?


「何、その発想……」

 呆気に取られながらも、吹き出してしまう。

 すると、大志くんがクシャッと表情を崩した。困ったような、嬉しいような顔。


 少し強引な行動だけど、大志くんなりに勇気を振り絞ってるのかも……。


 そんな風に思ったら、振り解け(ふりほどけ)なかった。


 それに、振り解きたいとも思っていないことにも、自分自身で気が付いていた。

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