3番目の高度合成数。-年下のキミと-
「どうかしました?」

「え、ううん」

 咄嗟に右手を自分の傍に引いたけど、繋がれた手は離れなかった。


 大志くんが少し、手に力を込める。


「どさくさに紛れて離そうとしてもダメですよ?」

 そう言って目を細める。

「ち、違うよ」


 フルフルと首を振ると、大志くんが口元を緩めた。


「違うなら良かった」


 その表情にまたドキリとしてしまう。


 大志くんは私の手を優しく引きながら、また前を向いて歩き始めた。


「な、何だか積極的だね」


「頑張るって、決めたんで」


 大志くんが前を向いたまま答えた。



 どうして、頑張ってくれるんだろう。

 こんな状態の私なんかを相手に。



 私は、大志くんに好きになってもらえる立場じゃないのに……。
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