3番目の高度合成数。-年下のキミと-

「今は遠恋だけど、彼氏に、こっちに戻ってきたら結婚しようって言われてるんだよ」


 手だけじゃなく、全身に力が入っているのが分かる。



 そのまま暫く(しばらく)動かなかった大志くんが、一回、二回、三回と。大きく呼吸をして、やっと口を開いた。



「実句さんは……こうしてて、ドキドキしませんか……?」


 私の肩に顔を埋めるようにしている大志くん。


 上擦ったその声に、泣いているんじゃないかと思った。




 ドキドキなんてしてないよ。




 そう答えるのがいいことなんて、分かってた。


 でも……。


「ドキドキしないわけ……ないじゃん」



 嘘でも言えなかった。
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