3番目の高度合成数。-年下のキミと-


 嘘をつくのと、つかないの、どっちが大志くんを傷つけるだろう?


 また黙った大志くんに抱きしめられたまま、ぼんやりとそんなことを思っていた。


「実句さんにとって……彼氏さんは運命の人……?」


 マスターが前に言ってた、「実句ちゃんには運命の彼氏がいる」ってセリフを思い出した。



 嘘をつくのと、つかないの、どっちが……。


「私は、そう思ったこと、ない……」


 やっぱり……嘘はつけなかった。


 心なしか、大志くんの力が緩んだ気がする。



「まだ……」


 大志くんが搾り出すように声を出した。


「まだ、結婚したわけじゃないです……。結婚するかも知れなくても……それでも……僕は、実句さんが好きです」

 そう言って、私の肩に手を置いて、自分の体を離した。


 自然と見詰め合う。
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