3番目の高度合成数。-年下のキミと-

 大志くんは泣いてなかった。眉間にシワを目一杯寄せて、ひどく辛そうな顔はしているけど。


「だから、諦めません」



 そういって、ゆっくり、顔を近付けてきた。



 ゆっくり、ゆっくり。




 そう、キスを……しようと、している……?





「それはダメっ」


 私は顔を背けた。


「……」


 大志くんはそのまま私の横顔を眺めているみたいだった。

 そして、息を吐いて答えた。

「すいません……」


 大志くんの手が、私の肩から降りる。


 ホッとしたと同時に、何かが零れ(こぼれ)落ちたときのような喪失感が襲った。
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