3番目の高度合成数。-年下のキミと-
「……帰りましょう」


 大志くんがまた私の手を握り、歩き出す。

 少し気まずいけど、振りほどくタイミングを逃してしまった。


 そのまま手を引かれ、てくてくと二人で歩く。

 てくてく、てくてく、と。


 どちらも言葉を発しないままマンションに着いた。


「ありがとう」

 お礼を言って荷物を受け取ったとき、大志くんが悲しそうに微笑んだ。


 その表情に、ズキリ、と胸が痛む。


「またお店で待ってます。……会いに来てください」

 何だか、違和感を覚えながらも、「うん」と返事をして部屋へ帰った。


 こんな日でも大志くんは、マンションの下から私の部屋の灯りが点くまで待ってくれている。


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