3番目の高度合成数。-年下のキミと-
「今日は、謝るだけでもいいじゃない」

 殴ったままの精神状態の方が、謝るより何倍も辛いと思うもの。

 そんな酷な状況でいて欲しくないもの。


 だけど大志くんはどうしても気が重いようで、家の前で躊躇していた。無理もないけど……。


「大志くんが早く謝ってくれないと、私帰れないんだけどな~?」


 大志くんがハッとしたように目を見開く。


「すいません、すぐ送りますから」


「だーめ! 絶対タクシーで帰るから、そんなこと言ってないで早く入って?」

 私がわざと寒そうに腕を擦ると、大志くんが苦笑する。



 そして、両手でパンッ! と自分の頬を打つと、ぎこちなく笑みを見せて家に入っていった。
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