3番目の高度合成数。-年下のキミと-
「もう……なんで私が心配されてるのよ……。大丈夫だった?」

『はい。とりあえず、謝っただけですけど……』

「偉い。とりあえず、十分だよ」

『……ありがとうございます』

 大志くんがペコリと頭を下げているのが見える。


「じゃぁ、私は帰るね」

『実句さん、本当にありがとうございます』

「いいよ、もう」

 笑おうとしたけど、大志くんが笑っていないのに気が付いてやめた。


『僕、どうしたらいいか分からなかったんです。
謝らないといけないのは分かっていたけど、どうしたらいいかわからなくて……』


「うん」


『実句さんが来てくれて良かった……』


「うん……」


 そう思ってくれて、良かった……。



 私は大志くんに手を振ると、通りがかったタクシーに乗り込んだ。




 そして考える。



 大志くんのために何かできないだろうか……?


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