3番目の高度合成数。-年下のキミと-
第五章

・誰かのために


 翌日は金曜日。

 今日は仕事の終了とともに、ダッシュで駅に向かう。

 途中で手土産のケーキを買うのも忘れない。




 そして向かったのは――。




『ピンポーン』




 ちょっと緊張しながらチャイムを鳴らすと、中から「はーい」という声と共に玄関の扉が開いた。



「あら! 実句ちゃん、どうしたの?」


 出てきたのは大志くんのおばさん。


「急にすいません。こないだのタッパー返そうと思って」

「わざわざ良かったのに。せっかくだから上がってちょうだい」


 予想通りのお誘いを受けて、私はお邪魔した。

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