3番目の高度合成数。-年下のキミと-


「おじさんはまだお仕事ですか?」



 勧められるままリビングに座り、少しキョロキョロとさせてもらう。


「もうすぐ帰ってくると思うけど……。もしかして、昨日のこと大志から聞いた?」

「あ、はい。少し」


 おばさんの鋭さに驚きながら答える。


「だから昨日帰ってきたのね、あの子」

 おばさんにニコリと微笑まれ、何となく恥ずかしくてテーブルに目を落とした。



「ただいま」

 ほどなくしておじさんが帰ってきた。



「おかえりなさい。お邪魔してます」

 紺のポロシャツに着替えてリビングにやってきたおじさんに挨拶をする。


「やぁ、実句ちゃん、いらっしゃい」


 目を丸くしたおじさんの口元には、小さな絆創膏が貼ってあった。



 思わず目を留めると、おじさんも気が付いたように口元をさする。

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