3番目の高度合成数。-年下のキミと-
「僕のためというなら、行かないでください。中途半端だって構いません」
「よ、良くないよ……」
「実句さん、迷ってるんじゃないですか? そんな状態で行って欲しくない」
私は確かに迷っていた。
行った方がいいのか、よくないのか。
それは、こうやって、大志くんに悲しい顔をさせてしまうからだ。
そんな顔を見たくなくて、私は握られてた両手に視線を落とす。
「私は……大志くんとちゃんとしたいから」
そう言うと、大志くんはぎゅっと両手に力を込めた。
そのまま、少し俯いて黙ってしまう。
やがて、ふぅっと短く息を吐くのが聞こえた。
「……分かりました。でも、行くときは教えてくださいね」
「うん」
大志くんが握っていた私の手を口元に運び、自分の唇に当てる。
私はそんな動作をスローモーションのようにゆっくりと見ていた。
「信じてます」
大志くんの手が、微かに震えていたのは寒さのせいだろうか……。