3番目の高度合成数。-年下のキミと-


 朋くんとの待ち合わせのカフェバーに向う道で、また携帯が鳴った。


 なんとなく予想をしていたけど、大志くんだ。


「はい」

『実句さん……』

 大志くんの声は予想以上に暗かった。


「ごめんね、急に中止にして」


『……これから会うんですか?』

「うん。ごめんね……」


『謝られたら、何も言えなくなるじゃないですか……』


 その声に、私は胸をギュっと掴まれたように痛くなる。


 ごめん。


 今の私には、謝ることしかできなかった。



「私も全然状況読めないんだけど、なんか、東京に戻ってきたらしくて」

『東京に……? それって……』

 大志くんはそこまで言ったところで、黙ってしまう。


「ごめん、待ち合わせ場所着いたから、また帰ったら連絡するね」


『分かりました……』


 それって、の言葉の続きが気になったけど、電話を切った。

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