3番目の高度合成数。-年下のキミと-
「話してきたよ……。
朋くん、東京に戻って来たんだって。正式に辞令も出たみたい」
大志くんの膝の手がピクリと動いた。
「……で」
私はそこでひとつ、呼吸をする。
「……結婚しようって言われた」
「……」
「ごめんね……」
やっぱり私たちは、あのエレベーターの中の会話では、ちゃんと別れてはいなかった。
「そうですか……」
大志くんはギュッと自分の膝を掴んだ。手の甲の筋で、力を込めているのが分かる。
「それでね……」
と、私が言いかけたところで、大志くんがパッとこちらを向いた。
「実句さん」
苦しそうに、でも微笑みを浮かべている。
「結婚式呼んでくださいね? 教会の扉をバーンって開けて、ちょっと待った!! って言うから」
「え……?」
「こないだ見た、映画のシーンだけど……」
へへへっと、大志くんが力なく笑った。