3番目の高度合成数。-年下のキミと-
「大志。トイレ、だったんだよな?」


 マスターがニヤリと見ると、大志くんが「あっ」と頭をかいている。



「まぁったく。大志もう上がっていいよ。実句ちゃんを閉店まで待たせる気?」


「あ、いいですよ! 閉店まで後一時間くらいだし。マスターと喋ってればあっと言う間だし」


 ここの閉店時間は夜の七時半なので、どうせいつもいる時間とそんなに変わらない。


「待たせること考えてませんでした。すいません」


 大志くんがペコリとお行儀よく頭を下げる。早退を受け入れないなんて偉い偉い。



「でも、マスターと喋ればって、また僕のこと忘れてる……」

 ブツブツと言いながら、大志くんはお皿拭きを復活させた。
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