3番目の高度合成数。-年下のキミと-
「僕もう、ダメだと思ってました……」
両手で顔を覆う大志くんにちょっと笑ってしまった。
「ごめんね」
「もー、紛らわしいから謝らないでください」
「ごめん」
謝る私に、大志くんが頬を膨らませる。
でも、その表情はすぐに柔らかい微笑みに変わった。
「良かった……」
心底、というように深い言葉だった。
電車が止まったようで、改札を人の群れが流れてハッとする。
いつの間にか雨は止んでいた。
「とりあえず、大志くん帰って着替えないと、風邪引くよ」
「実句さん送ったら、そうします」
私のことなんて気にしないでいいのに。でも、頑固な大志くんのことだから、断っても聞かないだろう。
そんなことを思っていると――。
「……そんなガキが、相手だとか言わないだろうな?」