3番目の高度合成数。-年下のキミと-



 ――だけど、今はもう思えない。



 私に必要な人は、この人じゃないんだ。



「……」

 大志くんの胸元から、朋くんに手が下ろされる。



「確かに僕は、あなたのような大人ではありません。

だから……実句さんと一緒に成長していきます」


 そう言って大志くんが頭を下げた。


 朋くんは冷たい視線を投げたままだった。



 だけど、フッと自嘲気味な笑みを漏らす。



「……最後くらい、足掻いてみようかと思ったが、遅かった、な……」


 そう呟いた途端――

『バシッ』


 激しい音とともに、大志くんが倒れこむようにベンチに落ちる。


「っ!!」


 一瞬のことで何がなんだか分からなかった。


 朋くんが、殴った……?

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