3番目の高度合成数。-年下のキミと-
唖然とする私の前で、朋くんはもう一度大志くんの胸ぐらを掴んで立ち上がらせる。
その大志くんの口元には血が滲んでいた。
「……」
朋くんが何かを大志くんに耳打ちをする。
そして、ドンッと乱暴に手を離すと、朋くんはくるりと向きを変えて改札の方に歩き出した。
そんな朋くんが見えなくなるまで、大志くんは朋くんの歩いた方に、ずっと頭を下げていた。
どうして殴られたのにそんなことしてるの!?
そう聞ける雰囲気ではなくて、黙るしかできない。
「いてて……」
大志くんがベンチに座る音でハッとした。
「だ、大丈夫!?」
慌ててハンカチを出して、大志くんの口元に当てる。
「大丈夫、です。それよりすいません、怖い思いさせてしまって……」
大志くんは自分の右頬に手を当てながら、申し訳無さそうに眉を下げた。