3番目の高度合成数。-年下のキミと-
 カランカラン、と少し重たい鈴の音がする扉を開けると、シンプルなウッド調の店内が目に入る。


 三つのテーブル席と、カウンターしかない小さな喫茶店で、私はいつもの端っこのカウンターに座った。

 このお店の名前は『cube』(キューブ)。


「実句ちゃんいらっしゃい」


 そう笑顔で迎えてくれるのはマスター。髭が似合うダンディなおじさんだ。


「今日はアップルティお願いします」

「はいよ!」

 マスターの明るい返事が気持ちいい。


 少ししてアップルティが目の前に置かれた。優しい香が漂う(ただよう)。


 ん~! 私は香りごと大きく深呼吸した。

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