3番目の高度合成数。-年下のキミと-
・灯火
九月の最後の木曜日、会社を出たところで、朋くんから電話があった。
久々すぎて、通話ボタンを押すのをちょっと躊躇って(ためらって)しまう。
「はい……」
『俺だけど』
「うん。どうしたの?」
『今、本社の中だ』
「えっ!?」
私は今出たばかりのビルを見上げた。
ってか、福岡なんじゃ……?
『明日福岡の会議資料が間に合わないから、急遽(きゅうきょ)俺が受け取りに来たんだ』
朋くんが出入りするのは階が違うから、出くわさなくても分かるけど……。
「来るって教えてくれればいいのに……」
『急遽だって言ったろ?』
でも、飛行機乗る前とか、メール打つくらいの時間あるんじゃない?
……なんて言えないけど。