3番目の高度合成数。-年下のキミと-
「――」

 大志くんが音を出さずに大きく息を吐いた。



「さっき駐車場で、凄く実句さんの顔が見たかったんです」



 下を向いたまま、ちょっと悲しそうな、嬉しそうな、複雑な顔で大志くんが呟く。



 その表情に胸が痛くなった。



 私なんかで、少しでも大志くんの元気が出るなら……。




 そう思ったら、自然と大志くんの左手を両手で握っていた。


 大志くんは少し驚いたようにピクリとする。


「すいません、別にたいしたことじゃないんです」


 大志くんはそう言うと、またいつもの明るい微笑みに戻ってしまった。




 ……無理して笑顔にならないでいいのに。
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