3番目の高度合成数。-年下のキミと-
「私にできることがあったら言ってね?」


 私は、ギュッと両手に力を込める。


「……はい」


 大志くんは左手を見つめながら、静かに頷いた。





 大志くんは今日も、私が部屋に着くのを待ってから帰って行く。

 私は手を振って帰る大志くんを窓から見送った。



 なんて優しい子なんだろう……。



 "凄く実句さんの顔が見たかった……"


 その言葉を思い出してドキドキと胸が騒ぐのを、冷たい水を飲んで鎮める。



 深く考えなくていい――。



「図書館なんて、何年ぶりだろう」

 そう、勉強のことを考えよう。



 土曜日、大志くんが午前中だけ学校だから、午後から図書館に行く約束になった。



 本が揃っててお勧めということで、大志くんの学校の近くの図書館だ。
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