∫hiRo 〜雨の向こうで僕が思うこと〜
そして学生になるや、シロは毎朝早起きをして、シャキシャキと自転車で出掛けて行った。
聞いたところによると、『デンシャ』という乗り物に乗って『センモン』まで行くそうで、そこにはとても賑やかな街があるらしかった。
「いってらっしゃーい」
シロが見えなくなるまで見送ると、オバアチャンと僕は決まって目を合わせた。
「じゃあ、入ろうかね?」
僕は黙ってそれに従う。
歩きながらオバアチャンは、
「やれやれ。どうなるかと思ったけどな。最近の若い子の事はわからんけんど……。
でもまぁ、動き出しさえすりゃぁ、後はどうにでも勝手に動いてくもんだ。ツヨシももう大丈夫だな」
と、笑顔でそっと呟いた。
とっても とっても、幸せに満ちた笑顔だった。