∫hiRo 〜雨の向こうで僕が思うこと〜
しかし残念な事がひとつだけあった。
そのヒトたちはシロの学校のお友達だった。
だから――…
僕はいつも練習に使われた。
僕はシロのお友達が来ると、縁側からいちばん近い部屋に連れて行かれた。
そしてシャンプーされたりブラシッングされたり爪を切られたり……
時には耳にリボンを結ばれたりもした。
ブラッシングはとても好きだけど、リボンやら爪切りの練習は本当に退屈で、僕は気配を察知すると逃走をはかった。
リボン……。
僕の母さんは、いつも桜色のリボンをしていた。
それはそれは美しかったことを、ぼんやりと思い出した。