∫hiRo 〜雨の向こうで僕が思うこと〜
ご主人はシロに、シロをここに呼んだ目的を伝えた。
「それで、私は宗一郎を連れて帰っていいのでしょうか? それをあなたにお聞きしたくて」
シロは茫然としたまま
「いいも何も……」
堂々としたご主人に遠慮がちに答え――
突然大きな声で、
「すみませんでしたっ!」
と頭を下げて、ご主人に謝った。
そして小さく呟いた。
「僕はおじさんからクロを盗んだ、のかもしれない……」