∫hiRo 〜雨の向こうで僕が思うこと〜
次の日から本当に、シロはお昼前に僕を訪ねて来るようになった。
そしてお菓子を置くと、そのまま自転車で“バイト”に出かけて行った。
僕はショコラに事情を話し、前より遅い時間に公園で会うようになった。
「何だ何だ、シロのヤツ! 何があったんだ?」
ショコラは目をまん丸にして驚いていた。
「“バイト”って何だい?」
僕はきょとんとした顔で聞いた。
「“バイト”ってのは、助けてほしいヒトを手伝って、そのヒトから“オカネ”をもらう事なんだ。
ニンゲンの世の中は、食べ物も着る物も“オカネ”がないと何も手に入らないからさ」
「えっ! シロが“バイト”を始めたって、そんなすごい事だったんだ!」
驚いた僕は、思わず叫んでしまった。
ショコラも続けて、
「何があったんだろうな?」
と、つぶやいた。
僕たちは無言で、しばらくの間、お互いの顔を見合わせた。