∫hiRo 〜雨の向こうで僕が思うこと〜
「えっ? 悪い事? シロが何かしたのかいっ?」
僕はショコラの鼻に自分の鼻が付くほどに顔を近づけて、まくし立てるように聞いた。
「昨日の夜にな、シロのヤツ、親父と大ゲンカしてさ。殴ってケガさせちまったんだよ」
それを聞いた僕は、驚いて目の前が真っ白になった。
「シロが父さんを……殴った? ケガさせた? ……えっ、何でっ!?」
僕はすっかり取り乱していた。
「落ち着けよ、宗一郎。さすがにケンカの原因までは、俺にもわかんないよ。
だけど、シロの親父も悪いんだよ。
シロはあんなに変わったっていうのにさ。昨夜もいつもと同じように一方的に『ロクデナシめっ』って怒鳴っていやがったんだ。
俺だって殴ってやりたいと思ったさ」