【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ

「戦死はなんだか、美談で片付けられそうでイヤなのよ。やっぱり、この戦乱の世の中、あえて死に方に自殺を選ぶ、それが私流だと思うのよね!」


 そんなことを口にする彼女の手首にはいくつもの切り傷がついていた。


 肩まで伸ばした黄金の髪の毛がとても綺麗な女性。


 釣りあがった瞳、そばかすの抜け切れていない肌。


 伸び切れなかった低い身長に・・・小さな胸・・・。


 好みのタイプとはいえないが、それでも彼女は・・・百合は、見た目だけは、とても可愛らしい女性だった・・・。


 手首の傷はすべて自分でつけたものだという。


 まったく・・・リストカットなんて、一番死亡率が低い自殺方法だろうに・・・。


「だったら、さっさと死ねば良いだろう?拳銃に刀や爆弾、終いには訓練用のギア・ドールまで、死ぬための道具はまったく困らない。」


 広い広い孤児院内の中でも、まったく人が寄り付かないであろう、射撃訓練場の裏。


 そこが、いつもの俺と百合のたまり場だった。


 建物の影に隠れ、一日中日が当たらないコノ場所は、その性質上、いつも湿気った空気が漂い、地面には植物が育たない代わりに、コケだけが、丁寧にあたり一面を覆いつくしていた。


 お世辞にも、気分がいい場所とは言えなかったが、俺も百合もそんな日陰な場所が好きだった。


「キリトはそのあたりが分かってないな・・・自殺願望者にも美学って言うものがあるのですよ!」


 何を自慢げに語っているのだ・・・この女は・・・


「あ、そうですか・・・。」


 思わず、彼女の言いようにため息が漏れた。


「ってことで、キリト、今度私と一緒に共同自殺をしなさい!」


 突然意気揚々と自分を指差す百合。


 そこで見せるのは、満面の笑みだから彼女は恐ろしい。


 ・・・・って、ナンデヤネン!?


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