【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ
「知っていたのか?」


「知らなければ、ここの孤児院の人間じゃないでしょ?」


 それもそうだ。


「クーデータだっけ?」


「うん。」


 そう、百合の言うとおり、明日の朝、この孤児院にクーデータが起こる。


 クーデータの首謀者は、この孤児院でもトップに立つ三人の先輩たち。


 キラ先輩、鈴蘭先輩、そして・・・ケィ先輩・・・。


 彼らにかかれば、確かに、これだけ巨大な孤児院を破壊することも可能だろう。


 事前に知らせたというコトは、俺たちに逃げろという合図。


 しかし、監視システムの行き届いた、孤児院からの脱出。


 逃げるにはクーデータに乗じて逃げるしか方法はない。


 俺たちみたいな、12歳を超えた『シニア組』なら、それでも問題ないだろう。


 それなりの訓練も受けてきたし、いざ孤児院を追い出されても、生きていける道はいくらでもある・・・。


 だけど、まだ、年端も行かないガキ共はどうしろというのだ?


 ここには、まともな言葉すら話せない2~3歳の子供だっているというのだぞ。


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