【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ

「まったくです・・・ありがとうございました。」


 先ほどまで絡まれていた女性は何とか体裁を保つと、自ら立ち上がり自分に向けて律儀にお辞儀を返す。


「別に・・・ただの気まぐれだよ。それに俺がいなくても、そいつを持っているなら、問題ないだろう?」


 そう・・・偶然・・・ただ、偶然、君が俺の知っている人と似ていたから助けただけだ。


 勘違いするなよ。


 俺は見ず知らずの赤の他人を助けるほどやさしい人間ではない・・・。


「射撃は苦手なんです。」


「軍人としては致命的だな。」


「よく言われます。」


 そういうと、アトランテの女性仕官はフフとやさしい笑みを浮かべた。


 それは、本当に愛らしい笑顔・・・。


 二年前・・・毎日ように射撃場の裏で見ていた・・・彼女を思い出させる・・・。


 ・・・・・・って、俺は何を考えているんだ?


 彼女は彼女だ・・・・百合ではない・・・・。


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