【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ
「一応、こういうときはお礼の一つも要求したほうが、あとくされなくていいのかな?」


 何とか、体裁を保つためにそんなことを言ってみる。


 そう・・・こいつは百合ではない。


 一緒に食事でもすれば、そんなことはすぐに分かるはずだ。


「そうですね・・・お互いに敵同士なので、下手に借りは作らないほうがいいかもしれません。」


 ・・・・・・・・。


「気がついていたのか?」


「その銃を見れば、分かります。気がつかなかったのですか?」


 ・・・・・・・・そういえば・・・。


 レベッタの改造銃なんて、虎神軍なら誰もが持っている日常品ともいえる武器だ。


 アトランテの人間ならば、見ただけですぐに怪しむのも道理だろう。


「俺としたことが・・・。」


 とんだミスを犯してしまったものだ・・・。


「幸い、ここは非政府地区です。お互いに今は『敵』ではないのだし、お礼の一つも受けても罰は当たらないと思いますよ。」


 言うと、女はまた、フフフと笑った。


「それじゃあ、遠慮なく。」


 断る理由はない。


 どちらにしても、途方にくれてこれからどうしようか悩んでいたところなのだ。


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