【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ
「もしかして、知ってるの?」
「・・・・・いいや。女性だろう?だったら知らない。」
先ほどの体裁を保つために、そんな嘘でごまかしておいた。
一応、知り合いに同じ名前で男性なら知っている。だから、驚いた。
・・・・・・・ってことにしておけば、先ほどの失態にもうまくつじつまが合わせられる。
「そっか・・・私の憧れ・・・って言ってもほぼ同期なんだけどね。そういう人だったんだよね。強くて、かっこよくて、芯がしっかり通っているって感じでさ・・・。」
知っているさ・・・。
三人の先輩たちはそれぞれが、そういう存在だった。
華麗で、強く、気高かった、キラ先輩。
温厚で、優しく、柔和だった、鈴蘭先輩
寡黙で、厳しく、誰にも負けなかった、ケィ先輩・・・。
彼らが揃えば、コノ腐った世界を壊してくれることも・・・この長く長く続く戦乱の世を終わらしてくれることもできるって・・・あの頃は本気で思っていたんだ・・・。
「見つかるといいな。」
そんな言葉でまとめておいた。
「そうだね・・・。生きていればね・・・・。」
そうだな・・・。
できることならば、俺も彼女には生きていて欲しい・・・。
だって、あの先輩たちがいれば・・・きっと、人外となった俺たちを許すはずなく・・・。
そんな俺と百合を・・・迷うことなく殺してくれるだろうから・・・・・・・・・。