【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ
「はい?」
突然そんなことを言われて、頭を振る自分に、不思議そうな顔を向ける整備士。
「いや、なんでもないよ。名目や事実なんて関係ないって言いたかったのさ。ようは祭りができれば、何でも良かったのだろう?当時の人間は・・・。」
それが、たとえクリスマスだろうが、ペンテコステだろうが、イースターであろが・・・。
たとえ節操がないといわれようと、祭りは人間の性だ・・・否定はするまい・・・。
「まったくです。本来アドベントを行わない人間にクリスマスを祝う権利は存在しないというのに、イエス様の侮辱にもほどがあります。」
アドベント?
あぁ・・・12月の頭から一週ごとに蝋燭を増やしていくアレか・・・。
「中々、貢献なクリスチャンだな?」
おそらくココまで熱く語るというコトは、この整備士はよほどのクリスチャンなのだろう。
「はい。ここに来る前は神父をやっていましたので・・・。」
なるほど。
カトリックの方か・・・。
どうりで口にすることが厳しいわけだ。
プロテスタントならば、もう少しやわらかい考え方もできたものを・・・。
「どっちだってかまわないさ・・・それより、ギアの整備のほうはいいのか?」
いい加減、こいつと話すこともない。
俺は早く百合と話をしたい・・・。
「はい、ギアの方はばっちりです。あとは人工知能の調整かと・・・。」
「そっちは、俺に任せてもらおうか。」
それだけ口にすると、脂ギッシュな整備士を追い払い、自分専用に整備されたギア・・・『紅薔薇』に乗り込む。
自分が良く知るギアのコックピット。
レバーの位置、ペダルの数、ボタンの配置。
すべて頭の中に入っている。
科学省に勤務していたため、実際にギアでの戦闘経験は0に近いが、訓練だけはしっかり受けている。
それに・・・・・・・・・こいつは・・・・・・・・・・・俺が何もしなかったとしても、動いてくれる・・・・。