【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ

『あ、室内でタバコはやめてね。くさいから。』


 ポケットからタバコを取り出した瞬間に言われた。


「・・・って、お前嗅覚までついたのかよ?」


『うん、せっかくだからって・・・』


 それは、必要ないような気がしたのだがな・・・。


「戦場に行ったら匂うだろうに・・・。」


 立ち込める硝煙のにおい、大量の火薬・・・そして・・・焼け爛れた死体の匂い・・・。


 戦場はその見た目以上に、悲惨な匂いが立ち込める。


『大丈夫、嗅覚はコックピットだけだから・・・』


「さいですか・・・」


 まったく・・・どこのどいつ・・・ってかなりの高確率でドクターだろうが・・・余計なことをしてくれたものだ。


『ってことで、一週間後、頑張ろうね』


「そうだな・・・。」


『私はキリトを守るよ。』


 それは本当に心強い言葉。


 一週間後、俺たちは戦場に出る。


 銃を持ち、剣を持ち、敵を殺し、銃弾の雨にさらされる。


 もしかしたら、そこで俺たちは終わるのかもしれない・・・。


 だったら・・・・・・・・・・。


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