【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ
2―2.前夜2
同時刻アトランテ基地。
「休暇はどうだったかね?舞鶴少尉?」
通信機越しに聞こえる上官の声は、生で聞くより、若干高く聞こえる。
どちらにしろ彼の声は低く聞き取りにくいので、若干高いほうが聞き取りやすくて助かる。
「どうといわれましても・・・。少し変わった人物に出くわしたぐらいですね。」
「変わった人物?」
「うまくは説明できないですがね・・・なんと言うか、全体的に生きている感じがしないというか・・・本当の意味で『死を恐れていない』・・・という感じの人物でした。」
死を恐れない・・・・・・。
それは、今この瞬間に死んでもかまわない・・・・という意味・・・。
前線部隊とは言っていなかったが、もし敵として現れたらもっとも手ごわい手合いとなるだろう・・・。
「少尉が、そんな風に他人のことを言うなんて珍しいな。一目ぼれかね?」
まさか・・・
「大尉、その発言はセクハラですよ。」
「あ・・・ウオッホン失礼・・・少しでも気を.紛らわそうと思ってだな・・・。」
なるほど。
何の脈絡もなしに世間話を振ってきたと思ったら、そういうコトだったのか。
しかし、それがセクハラまがいの発言とは・・・。
大尉もだいぶ女性とは縁のない人生を送ってきたのだろうな・・・。