【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ
「ふぅ・・・。」
薄暗いコックピットの中で一息つける。
今は強襲戦艦『向日葵』の中で移動している最中。
一週間後・・・私たちは敵の領土に侵入し、戦闘を仕掛ける。
いくら最新鋭のギアを任されたといっても、私が生きて帰れる保障はどこにもない。
だから・・・できることならば・・・・。
「・・・もう一度・・・・・会いたかったな・・・。」
不意に口に出た。
私の頭をよぎるのは、彼の・・・・・・・スラムで出会ったキリトという名の少年の姿・・・。
生気はなく、どこか危なっかしくて、だけど憧れだった彼女と・・・キラと同じように何事にも揺るがない高潔で、まっすぐな目をしていた、彼の姿・・・。
って、本当に何を考えているんだ私は!
彼は敵だぞ、敵!
私も彼も戦場であったら殺しあわなくてはならない同士なんだぞ。
「一目ぼれなんて・・・そんなことあってたまるか!」
誰に言うでもなく、私はコックピットの中で毒づいた。
・・・・・・・・そして、一週間後・・・戦火が幕を開ける・・・・・・・・。