【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ
「驚いたわ、キリト・・・あなた前線には出ないんじゃなかったの?」
「そっちこそ、射撃は苦手じゃなかったのかよ?」
こいつだ・・・
こいつが、先ほどの黒い機体のパイロットに違いない。
だったら・・・こいつが、紅薔薇を・・・百合を・・・・・・・・。
「嘘は女の特権よ。」
だからって!
キリトは、咄嗟に脱出ポットの中から銃を拾い上げて、彼女に向かって発砲しようとするが。
「!」
当然、先に銃を構えていた舞鶴の方が早かった。
キリトが手に持った銃はいとも容易く彼女の弾丸によって弾き飛ばされる。
それにしても、近距離とはいえ、見事に銃だけを狙い撃つとは・・・。
・・・・・・・『射撃は苦手なんです。』・・・・
嘘つきが・・・。
「おとなしくしたら?別に私は危害を加える気はないわよ。」
だったら、その構えている銃をおろせよ。
「俺は、お前の敵だぞ?」
「コノ状況で、敵も何もないでしょ?」
言われて、自分がどこに立っているか理解する。
一面に広がる荒野。
先ほどまで戦場にいたはずなのに、ここからでは煙の一つも見えない。
脱出ポットの行き先は、一応自軍の基地に設置されているが、簡単に壊れてしまうことは元科学省任務だった自分が、一番良く知っている。