【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ
「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・・・・。」


 二人の間にしばらく訪れる、しばしの沈黙。


 両者は殺気立ったまま一歩も動かない。


 冬の風にあおられ、保温性が高いはずのパイロットスーツに身を包んでいるにもかかわらず、身体が震えた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・わっかたよ・・。」


 結局、先に折れたのはキリトのほうだった。


 どちらにしろ、向こうが銃を握っていて、こちらが丸腰では相手の言いなりになるしかない。


「ようやく分かってくれたようね・・・だったら、さっそくコノ状況から帰れる方法を二人で模索して・・・。」


「まった。」


 確かに、舞鶴の言い分ももっともが、それよりも自分には聞いておかなければならないことがあった。


 それは、この状況下において、キリトが真っ先に聞かなければならないこと・・・。


「ん?」


「舞鶴・・・もし、敵でないなら・・・聞きたいことがある。」


 一歩足を踏み出す。


 とたんに右足が酷く痛んだ。


 ・・・・・・骨折したのか・・・。


 何となく、分かった。



 だけど、今その程度のことでかまっていられるか。

< 83 / 130 >

この作品をシェア

pagetop