【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ

「なにかしら?」


 銃はそのまま、舞鶴は聞いてくる。


 だけど殺気はない。


 撃つ気もうせたのだろう。


 ・・・・・・どちらにしても、撃たれてもかまわなかったが・・・。


「舞鶴がここに脱出したというコトは、紅薔薇・・・百合は無事なのか?」


 俺は目の前の漆黒の機体との戦いの最中に、放り出された。


 もし、目の前でその敵のパイロットが、脱出して目の前にいるというコトは、あのあと何かが起こったのだ。


 もしかして・・・百合はまだ・・・・・・・・。


「紅薔薇?あの機体の名前かしら?分からないわ・・・そんなところまで確認する余裕はなかったもの。」


 そうか・・・。


 だったら、取れる手段は一つだ。


 キリトは痛む足に激を打って歩き出す。


 向かう方角は分からない。


 だけど、ここでじっとしているのだけは、イヤだ。


「ちょっと、どこに行くのよ?」


 舞鶴の質問。


 そんなの、聞くまでもないだろう?


「戦場に戻るんだよ?・・・もしかしたら百合は・・・まだ、生きているかもしれない・・・。」


 だとしたら、一刻も早く、向かわねば・・・。


 早くしなければ、回収・・・・もしくは、『ゴミ拾い』と呼ばれるジャンク屋に回収されて、分解されてしまう・・・。


 そんなことになったら、俺は二度と百合と・・・・・・・。

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