【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ
「それは・・・・・・・・。」
「あ、聞いちゃいけないものだった?」
キリトが言葉をにごらしたので、そうなのだろうと勝手に判断する舞鶴。
「いや・・・そんなもんじゃない・・・そいつは、コンピューターウィルスだ。」
あの時・・・まだ自分が科学省にいた頃に作っていた・・・対人工知能用コンピューターウィルス。
なんで、こんなものを、出撃の前に手元に置いたのか・・・。
自分でもよくわからない・・・・・・・・。
「コンピューターウィルス?」
「あぁ・・・そいつを使えば、人工知能を破壊することができる。」
「!」
それを聞いたとたん、舞鶴の表情が変わる。
やはり、敵国にも人工知能の情報は流れ込んでいたのか・・・。
諜報部は、いったい何をやっているんだ?
「なんで、あんたが・・・そんなものを・・・・?」
当然の質問だろう。
敵のスパイが持っていたのなら、納得できる。
だけど、そのウィルスを持っていたのは他でもない人工知能と共に戦ったパイロットなのだ。
「わかんない・・・だけど、いざというときは、それを使うつもりだった・・・。」
その『いざ』というのが自分でもよくわかってない。
彼女が暴走したときか・・・それとも、もはや負けが確定して、逃げるしかないときか・・・。
だけど・・・・・・俺は実際に逃げる間際になっても、それを使うことができなかった・・・・。