【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ
「!」
その瞬間、一陣の風が吹いた。
何事かと思ったが、すぐに理解する。
百合の元に降り立ったのは一機のギア・ドール。
回収部隊・・・にしては早すぎる・・・。
『ゴミ拾いか・・・。』
すぐに理解できた。
戦場跡に落ちている兵器やギアの残骸を拾っては売りさばく、貧困層・・・スラム住民たちの主な職業。
確かに・・・よく考えたら、私は新兵器・・・。
彼らにしてみれば魅力的な素材だろう。
風化して死ぬよりましだ・・・。
さぁ、私をもっていって、とっとと解体して、売りさばくが良いさ!
・・・・・・・・・もう・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・どうせ・・・・・・。
・・・・彼とは会えないのだから・・・・・・・・・・・・・。
「人工知能やと・・・・・・?」
しかし、私の元に降り立ったギア・ドールは、私のコックピット後を見るや否や、そんな言葉を口にした。
どこの国ともいえない独特のイントネーションを持った言葉。
なぜ、スラム住民であるお前が、それを知っている?
百合は、残りの力をふりしぼって、『身体』についているモニターを動かす。
そして・・・彼女は見た。
それは・・・・・・。この黒しか存在しない戦場の中で、光を浴びてまるで、黄金のように輝く・・・。