【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ
3―4.告白
脱出ポットが移動できる距離なんて限られている。
冷静に、太陽と時刻を照らし合わせれば、自分がどこから来て、どこに進めばいいかぐらい簡単に見当がつく。
科学省に勤めていて、その程度の計算もできないようでは仕事にならない。
だけど・・・・・・。
「そんな・・・・・・・・。」
キリトは戦場に戻るや否や、まるでこの世の最後を見たかのような言葉を口にする。
あたり一面に広がる残骸の数・・・。
だけど、冷静に見てみると、それらは小さな部品や、引取りどころが分からない真っ黒な死体だけだ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・戦場だったところは、見事に片付けられていた。
「そんな・・・」
もう一度、口にしたところで状況は変わらない。
回収部隊ではない。
『ゴミ拾い』・・・・・・・・。
彼らが来たのだ。
回収部隊よりも早く、戦場のゴミを拾って売りさばく、スラム住民たち・・・。
そんな連中が、新兵器同士がやりあった場所をほうっておくわけがない。
おそらく、百合は・・・・もう・・・。