【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ
「なんで、こんなこと・・・?」
聞かずにはいられなかった。
「まぁ、昔、こいつに似た奴に痛い目にあわされたんでな。生きてるみたいやったから、言いたいこともあるやろうと思って、知り合いに電話してつなぎ方を聞いてみた。」
いったい、この男・・・何者なのだろうか・・・。
人工知能の複雑な回線をつなげるなんて、一介のスラムの人間にできる芸当ではないというのに・・・。
どちらにしろ、コノ場においては、感謝のきわみだ。
「ありがとうございます。」
言うが早いが、キリトは黄土色のギアに乗り込む。
入ったとたん、キリトの目に飛び込むのは自分の知っているギアとは大きく外れた、無数のペダルとレバーが置かれている、複雑難解なコックピット。
どうやったら、こんなもの動かせるんだ?
疑問に思ったが、今はそれどころではない。
『キリト・・・?』
コックピットの中に響くのは、聞き覚えのある声。
まさか、声帯まで、つなげてくれるとは・・・。
「百合!」
『キリト・・・やっぱり、キリトなんだ?』
「生きていたんだな・・・百合!?」
それだけでいい・・・今はそれだけで良い。
良かった・・・生きている、彼女は間違いなく生きている!
『生きているって・・・私は二年前に死んでいるよ・・・』
そんなこと・・・そんなこと、どうでもいい!