Pirate

セドリックはにやにやと笑む。彼の付けている眼帯の奥の左目が、一瞬、ジャネットを睨んだ。

「…あの、ルツ。あの方は何と言っているのですか…?」
「あぁ、後で話すよ。さあ、行こう」

心なしか、彼の瞳が曇ったようにも見えた。ジャネットの肩に手を置き、部屋に入るよう促す。

「失礼します…その…彼、は」
「…あいつ、お前のこと、穢れた弱いイタリア人とか言いやがった」
「!」

ジャネットは目を見開く。そして暫く、恐らく彼は外部から入ってきた人間など船に入れたくないのだろう、などと考える。

「だから、言ったんだ。ジャネットは穢れてなんかいないって」
「……いえ…」
「…気にするなよ!あいつはお前のこと、嫌いではないと俺は思うんだ」
「そうだと、良いのですが…」

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