スタッカート
「雪乃、出掛けるのか」


土曜日、玄関でお父様に捕まった。


「はい、お友達とクラシックのコンサートに…帰りは遅くなります」


「なら会場まで車で送ってやろう。お友達とは何処で待ち合わせだ?」


自慢の髭を撫でながら嬉しそうにおっしゃる。


「いっ…いいの!コンサートは夜からだし、それまで買い物をするつもりだし、歩いて行きます」


「そうか…気を付けてな」


「はい、行って参ります」


最高の笑顔を向けて玄関の扉を閉めた。
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