いつかの花火【企】



「涙おそいっ。」

私の家の入口に何故か彼はいた。
しかもいつもより早い時間に。

「なんで…?」

「なんでって…雨だと屋上行けないじゃん?」

「それはそうなんだけど…。雨だから中止かと…。」

「え…それは寂しい。から顔だけ見に来た。」

「……。」

彼は飾り気なく答えた。
…若さの違い?なのかな?
私も寂しい気がしたけど…そんなにハッキリ言えないし。
突然のことに対応も出来ないでいた。



「涙?」

「あ…ごめん。どうぞ、あがって。」

「え?いいの?」

「え?せっかく来たんだからどうぞ?」

「じゃぁ…お邪魔します。」

「どーぞ。」



普通は男性なんて家には入れないんだけど…
せっかく来てくれたし。

気が付いたら彼を家へ案内していた…。



< 11 / 42 >

この作品をシェア

pagetop