いつかの花火【企】
そういえば、お客様が家に来るのも久しぶりだなぁ。
なんだかイロイロ出したくなってしまう。
昔から私の家が皆のたまり場だったからコーヒー、紅茶、お茶、お酒、何でもある。
「何飲む?何でもあるよ?何かご飯作ろうか?」
「え…っ?あ、うん、なんでもいいよ…。」
「ん?どうしたの…?」
「別に…。」
別にと言いながら、いつもの屋上での彼やさっきまでの彼と違い、何故か急に静か?な彼。
気のせいかな…?
「じゃ、とりあえずいつもみたいにビールでいいかな?」
「…うん。」
冷えたビールをお気に入りのブルーのグラスに入れる。
綺麗に沸き上がる泡が可愛い音を奏でる。
うん、美味しそう。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。」
「「お疲れ様。」」
カンッ―…。
グラスとグラスが雨音をバックにして綺麗な音を奏でる。
屋上とは違いなんだか音が静かで落ち着く。
こんな夜もいいな。
「こんな日もいいね。」
「え…?…そ、そうね。」
同じことを思ってるの?
なんだか嬉しい…。
「ね、また来てもいい?」
「雨じゃなくても?」
「雨じゃなくても。」
「…気が向いたらね?」
「気は向かせるし!ね?」
「……。」
少し…羨ましいくらい。
いつでも素直な君。
キラキラしてる。
それに比べて…
私は素直じゃないな。
今、こんなに楽しいのに…
それも伝えられない。
君は何で私と一緒にいるのかな…?